「殺影禁止(サツエイキンシ)」

この街にはこんな都市伝説がある。

人気のなくなった夜のショッピングモールには近づいてはならない。
そこには仮面をつけた少女の化け物が出る。

その少女———リエは美しかった。
美しいがあまり、男たちの関心を集めた。
しかし、彼女はどんな男たちの誘いにも乗らず、
彼らの思慕の視線はいつしか反感のそれへと変わっていった。

そして、凶行が起こる。
無惨に顔を斬り付けられた少女に、男たちは捨て台詞を吐いた。
「ブスのくせに偉そうにしてるからだ」

暗いショッピングモールの片隅で、血まみれの顔を覆って少女は泣いた。
「・・・私がブスだから?」

それ以来、リエは笑顔をなくし仮面をつけて生活をするようになった。
人目を避け、暗闇に紛れる。
そして、暗闇からこの世を呪い続けた。

楽しそうに遊ぶ同じ年の女の子や男の子たち。
その顔にみな笑顔を浮かべていた。
“笑顔”
それは、リエから永遠に奪われてしまったものだ。
「私は一生この醜い顔で生きていかなくてはいけない」
仮面の奥から覗く瞳に、笑顔で写真を撮り合い、はしゃぐ少女たちの姿が映る。
その笑顔はリエを狂わせた。
彼女は自分を追い詰め・・・自分で顔を焼き苦しみながら死んだ。

その頃から、ある噂がささやかれるようになった。
営業が終わる間際の人気のないショッピングモールに、得体の知れない顔出しパネルが現れるというのだ。

ある女子高生はこう語る。
そのパネルには、とてもスタイルがいい女性の写真が映っている。
一見するとモデルが立っているように見えるが、近寄るとただのパネルだとわかる。
顔の部分はくり抜いてあり、そこに顔を入れるとまるで自分が美しくなったような気分になれる。

それで写真を撮って遊んだそうだ。
ところが、写真に写った顔は醜く焼け爛れていた。
気味が悪くなりすぐに写真を消去した。

だが数日後、それは現実となった。
その女子高生の顔は、不幸な事故に遭い醜く焼け爛れてしまった。
そして、パニックに陥り失踪してしまったというのだ。
もちろん、そのような顔出しパネルは誰も用意していない。

一体何が起こったのか。
パネルの奥に真実があるのだろうか。

あなたには何があったのかを探ってほしい。

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